Ohuhu イラスト講座
グラデ塗りを活用してツヤのある黒髪を塗ってみよう!
前回のメールマガジンでは、Ohuhuマーカーペン 120色セットを使って透明感のある瞳を塗ってみました。
今回は、黒髪の塗り方を画像とともにお伝えしたいと思います。
黒のみで塗ると重たい印象になってしまいがちですが、インナーカラーに明るい色を取り入れることで軽やかな印象を与えることができます。
使用する色と画材
髪に使用する色は、クールグレー系の色から、CGⅡ08 / CGⅡ04 / CG2 / CGⅡ00を選びました。
BG3 / BG4は、インナーカラーとして使う色です。
こちらは、髪以外で使用した色です。
WG01 / CGⅡ00
白いシャツの影色として使用しました。どちらもごく薄いグレーなので、白いシャツの影として使用しても色が浮きません。
R18 / R20
イラストマーカー講座 第13回でもご紹介したおすすめの肌色です。
ベースをR18で塗り、頬にR20を使っています。
BGⅡ09 / BGⅡ05 / BGⅡ03
紺色の制服を塗るのに使用しました。ブルーグレーのこの3色は、グラデーションがとても作りやすく使いやすい色でした。セーラー服やスーツの色にも良さそうです。
R7 / R6 / R3
赤いリボンの色です。とても深い色なのでワンポイントとして目立ってくれました。
Ohuhuマーカーペンを使って髪を塗っていく
今回塗っていくイラストはこちらになります。先に髪の毛以外の箇所を塗っています。
線画に使っている色は黒のみですが、肌に茶色、毛先に青やグレー系の色のペンを使うとより色が馴染みやすいです。
なお、目は前回の記事でご紹介した色と塗り方で塗っています。ぜひ合わせて御覧ください。
①下塗り
まずはCGⅡ00を使って下塗りをしていきます。インナーカラーを別の色で塗るため、顔の周りは塗らず、前髪やサイドの髪の毛だけを塗っています。
最初に濃い色で塗っていくよりも、先に下塗りをしておくことで色が馴染みやすくなりますし、どこにどんな色を置いていくかの目安が付きやすくなります。
ハイライトに当たる部分は紙の白さで表現したいので、塗らずに残しておきます。
ハイライトの場所をどこにするかが難しい場合は、シャーペンなどで薄くアタリを付けておくと良いでしょう。(画像でも、シャーペンでアタリを付けています)
BG3を使って、インナーカラーの下塗りをします。
塗る部分は顔の周囲です。BG3とCGⅡ00はどちらも薄い色で馴染みが良いので、重ねて塗っても自然に見えます。
下塗りはこのような感じです。あとからどんどん色を置いていくので、多少塗れていないところやはみ出しがあっても大丈夫です。
画像では少し分かりにくいですが、顔の周りはBG3を使っていますので薄く青みがかっています。
銀髪を塗りたい場合は、ここからCG1とBGⅡ03などを使って塗り重ねていくと良いです。
②ベース塗り
下塗りが乾いたことを確認したら、CGⅡ04とCG2を使って黒髪のベースを塗っていきます。
ここからいよいよ本番になってきますので、全体の色のバランスを見ながら塗っていきましょう!
塗り方ですが、まずは濃い色の CGⅡ04を払うようにして塗っていきます。
このとき、ハイライトの部分については、先に下塗りしていたCGⅡ00を塗りつぶしてしまわないように注意してください。
CGⅡ00が少し残ることで、ハイライトがより輝いているように見えるためです。
CGⅡ04で塗った箇所が乾かないうちにCG2を重ねていきます。
最初はCGⅡ04で塗った箇所が目立ちますが、CG2で伸ばすように塗っていくことできれいなグラデーションになっていきます。
アルコールマーカーは時間との勝負です。
CGⅡ04とCG2は常に蓋を開けておき、片方の手で使っていないペンを持つ…という感じで、ペンの持ち替えがスムーズになるようにしておくことをおすすめします。
前髪と、サイドの髪を塗り終えたらベース塗りは以上です。
顔の周りと毛先については、あとで色を塗っていきますので、この段階では何も塗らなくて大丈夫です。
③全体を見ながら塗りの強弱をつけていく
CGⅡ08、CGⅡ04、CG2の三色を使って、グラデーションを作りながら全体的に色の強弱をつけていきます。
髪の印象の8割を決めると言っても過言では無い作業、かつ、濃い色を入れていくので失敗するとリカバリーが難しい部分になります。
慎重かつスピーディにやっていきましょう。
最初のうちは、線画をコピーして別の紙で練習するのも手です。
さて、グラデーションの作り方ですが、まずは一番濃い色のCGⅡ08を影になる部分に少しだけ塗ります。
その上から、CGⅡ04を重ねます。CGⅡ08が乾かない内に、手早く塗ってください。
更に、CG2を塗り重ねます。CGⅡ08やCGⅡ04の塗り跡が気になる場合は、目立たなくなるまでCG2を重ねてください。
これを全体的に、毛束ごとに繰り返していきます。
一つの毛束を塗るごとに、違和感のある箇所が無いか、イラストを引いて見て確認してみてください。
全体的に塗り終えたところです。
濃い部分はしっかり濃く、毛先などについては薄くメリハリを付けて塗ることで、全体的に躍動感のある髪になります。
また、筆先で払うように塗ることで髪のツヤも表現できます。グラデ塗りと使い分けながら塗り進めてください。
④インナーカラーを塗る
次に、BG4を使ってインナーカラーを塗っていきます。
顔の周囲にBG4を塗っていきます。ムラが出ないよう、どんどん塗っていって構いません。
BG4のみだと単調になってしまったので、CG2で影を描き込んでいきます。
BG4をすべて塗りつぶしてしまうと鮮やかさが損なわれてしまうので、影になる部分だけを描き込んでいきます。
ハイライトと黒髪の境界や、毛先などにBG4を塗っていきます。
そうすることにより、黒のみで塗るよりも複雑な色合いになり、絵の情報量が増えます。
インナーカラーを塗り終えました。
黒のみで塗るよりも、透明感があり軽やかな印象になったと思います。
今回は薄い水色で塗りましたが、ピンクやオレンジ、イエローも黒髪と相性がいい色です。
インナーカラーによってイラストの印象も変わるので、色々な組み合わせを試してみてください。
⑤仕上げをして完成!
最後に仕上げをしていきます。
まずは、オレンジ色のシャーペンで頬の赤みを足していきます。
アルコールマーカーとカラーシャーペン・色鉛筆は相性の良い組み合わせです。
アルコールマーカーだけだとちょっとメリハリが無いな…と言うときは、色鉛筆で上から塗り重ねてみるのもおすすめです。
アクリルガッシュの白で、瞳の中や髪の毛にハイライトを入れていきます。
白ペンではなくアクリルガッシュを選んだ理由ですが、最後にスパッタリングをするためです。
イラスト全体にスパッタリングをすることで、空気感を出すことができます。アクリルガッシュは隠蔽力が強いので、マーカーの鮮やかさも覆い隠してくれます。
制服の女の子の完成です!
インナーカラーにより透明感を、グラデ塗りにより髪のツヤ感を表現してみましたが、いかがだったでしょうか?
黒は画面を引き締めますが、使いすぎると重たい印象を与えるため難しい色になります。
インナーカラーに明るい色を用いることで、黒のみを使ったときよりも重くなりすぎないのでぜひお試しください。
Ohuhuマーカーペン 120色セットは鮮やかな色が多く、ハッキリとしたメリハリのある着色ができます。
次回もどうぞお楽しみに!
(文・写真 / しんせつなペイト)
しんせつなペイト
会社員のかたわら画材に関するブログ『ペイトのすすす。』を運営。透明水彩やアルコールマーカーなど、画材全般についての情報を発信中!